マインドフルネスの効果は期間で測らず習慣化できたことで測るべき?

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マインドフルネスは国内でも言葉として知られるようになっており、ビジネスパーソンに向けて、集中力やストレス低減の方法として取り入れられつつあるように思っています。

一方、医学の世界ではうつ等の治療法としての効果の検証も進められてきました。

しかし、マインドフルネスは薬とは違って、効果は急激に現れるものではありません。

そのため、期待される効果ってどのぐらいの期間で得られるのか気になるところです。

 

実は治療としてのマインドフルネスの効果が得られる期間については研究が進められているのですが、ビジネスパーソンが期待するような効果がどの程度の期間で得られるのかっていう研究成果ってなかなか見当たりませんでした。

 

そこで、今回の記事ではマインドフルネスについて国内の研究者が公表している論文を複数読んでみた上で、一般の人がマインドフルネスを行うことで得られる効果について、自分自身でもマインドフルネスをやってみた上で、個人的な考えをメモしてみました。

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1.マインドフルネスの効果が現れるのは4〜8週間

マインドフルネスの効果が現れる期間として、4週間とか8週間という研究論文が発表されています。

もともとは、研究者のカバットジン8週間の『マインドフルネスストレス低減法』をプログラム化したことから、マインドフルネスの効果は8週間で現れるという感じになっていました。

 

ここからは国内の研究者による公開されている研究論文を調べてみたものになります。

 

まず、マインドフルネスによる効果にはどのようなものがあるのかと言うと、例えば、林 紀行「マインドフルネスとエビデンス」人間福祉学研究 第7巻第1号 2014. 12では、

  • 不安や抑うつ症状の改善
  • 健康長寿につながる可能性
  • 身体化障害など心身症への効果
  • 統合失調症のような幻覚,妄想を伴う疾患においても有効
  • 乳がん患者にも効果
  • 再発性うつの再発予防に効果

という情報が掲載されています。

 

そして、このような効果が得られる期間についても、同様に研究論文の記載から引っ張ってみました。

例えば2013年に発表されているちょっと古い研究論文になっちゃいますが、以下のような説明がされています。

越川・島津・近藤(2010)は,8週間のマインドフルネス諸技法(具体的には,3分間呼吸法・レーズンエクササイズ・マインドフルネス ウォーキング・立位ヨガ・ボディスキャン瞑想法・3分間呼吸空間法)を中核とするプログラムを開発し,少人数グループで実施するとともに,抑うつに対する効果を①気づき,受容,脱中心化の増加と抑うつには関連がある,②プログラムは,抑うつの低減,気づき,受容,脱中心化の増加に有効である,といった点を通して検討している。結果,脱中心化の増加を通して抑うつの低減に有効であることが示された。
引用:北川嘉野、武藤崇「マインドフルネスの促進困難への対応方法とは何か」心理臨床科学,第3巻,第1号,41-51,2013

 

また、同じ論文で紹介された既往研究としては、

伊藤・安藤・勝倉(2009)では,一般成人に対し4週間の禅的瞑想を取り入れた集団トレーニングプログラムを作成し,訓練を行った。その結果,精神的健康における抑うつ傾向の軽減と、認知的側面においては思考抑制の減少,破局的思考緩和能力の向上,理性的思考と感情的思考のバランスの回復などの効果をもたらすことが示され,マインドフルネストレーニングの効果が実証された。
引用:北川嘉野、武藤崇「マインドフルネスの促進困難への対応方法とは何か」心理臨床科学,第3巻,第1号,41-51,2013

という説明がされています。

 

上記のように、国内の研究者によると、マインドフルネスの効果は4〜8週間の期間で得られるというのが通説のようです。

 

なお、これらは医学的にみた効果で、特にうつ等への効果があったというものです。

ですから、これらの結果は企業が社員のパフォーマンスを上げる目的でマインドフルネスを導入することよって得られる効果というものではなく、医学的な効果の要素が強いわけです。

 

2.マインドフルネスに取り組むアメリカの企業の様子

以前ご紹介した日経トレンディでは、アメリカの企業がマインドフルネスを導入したことで、マインドフルネスが広まってきたという情報が掲載されていました。

確かにいろいろ調べてみると、アメリカでのマインドフルネスが広く知られるようになったのは、2014年インテルが63カ国の10万人の社員を対象に導入を推進していることが報じられたことがきっかけになったようです。

その際、インテルでは1,500名の社員に9週間のプログラムを実施したそうです。

その時の効果として、社員のストレス低減や健康・幸福感の増進、洞察力・創造性、集中力の向上が図られたというのです。

このような情報に触れると、マインドフルネスはそれは魅力的に聞こえますよね。

 

さらに2007年からグーグルではマインドフルネスとEQプログラムを開始し、その他にもアップル、ナイキ、P&G、マッキンゼー等が同様の取り組みを実施したという情報があります。

 

このように大手企業がこぞってマインドフルネスを社内に導入したことから、アメリカではマインドフルネスがかなり広まっていったようです。

 

3.一方でマインドフルネスは効果無いっていう情報も

このような背景があり、マインドフルネスに大きな期待が寄せられることになりました。

 

しかし、一方で、マインドフルネスは科学的な検証が不足しており、マインドフルネスは効果がないという趣旨の海外発の情報もかなり増えてきているようです。

 

ただし、マインドフルネス=効果なし このような書き方は実は間違いでした。

マインドフルネスの効果について警鐘をならすいずれの研究も、マインドフルネス自体に全く効果が無いと言っているわけではありませんでした。

 

例えば、こちらの論文

Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being  A Systematic Review and Meta-analysis

では、マインドフルネスは心理的ストレスの低減に効果があるが、他の薬物等の治療と比べて効果が低い等の情報が掲載されています。

 

また、

Mindfulness and Meditation Need More Rigorous Study, Less Hype

でも、マインドフルネスは有効だと認めつつも、その効果が過大視されており、もっと科学的な検証が必要であると示されています。

 

いずれにしても、特に欧米ではマインドフルネスへの期待がかなり高く、それが商業的なツールとして使われてしまったこともあり、本質的な効果について誤った考え方も広まってしまったようです。

そこで、マインドフルネスの効果の検証については、今後は医学的・科学的に十分に行われることが必要と言えます。

 

4.思うにマインドフルネスの効果は期間より習慣化が大切

以上にように、一連の情報を読み、さらに自分でもマインドフルネスを取り組んでみた上で、マインドフルネスの効果について考えてみました。

 

まず、うつ症状等の治療の効果を期待するなら、当然、きちんとしたマインドフルネスによる治療が行わなければなりません。

ただし、個人の状況はそれぞれ異なりますから、当然得られる効果や効果が現れる期間は人によって異なってくると思います。

 

一方、病気の治療を目的としないマインドフルネスの場合、つまり集中力の向上やストレスの低減といった、ビジネス面のパフォーマンスの向上を目的としたマインドフルネスについては、ちょっとやっただけである程度のすっり感やストレスが減った感じを得ることができます。

 

そこで、治療を意図しないマインドフルネスについては、他の健康面での習慣と同様に毎日ちょっとづつ行うことが重要ではないかと感じています。

前回の記事でも紹介しましたが、マインドフルネス瞑想を5分間だけやるといっても結構難しいです!

それでも、ちょっとやれば心身的にリフレッシュがありますし、個人的には効果の深さは微妙ですが、このような目的のマインドフルネスでは効果はすぐに得られると感じています。

 

そこで、治療を目的としないマインドフルネスの場合、得られる効果は8週間というような期間を重視するのではなく、改習慣化できたかどうかを重視し、長い目で取り組むことが有効だろうと思っています。

 

まとめ

今回はマインドフルネスを行うことによって得られる効果がどのぐらいの期間必要なのかという情報と個人的な考えをご紹介しました。

 

治療目的で行うマインドフルネスの場合、専門家の指導にもとづき実施した場合、期待される効果は4〜8週間ぐらいで得られるという結果をお伝えしました。

 

一方、治療目的ではないマインドフルネス、つまり集中力をあげたり、ストレスを低減させることを目的として行うなら、自分の場合、わずかの時間だけでも多少の効果は得られると感じます。

 

特にビジネスパーソンがマインドフルネスを行う場合、ちょっとやってみて、思ったほど効果がでないな〜。。ってすぐにやめてしまわず、健康維持の一つの習慣として取り組んでみるのがいいのではないかと思っています。

 

自分もこれから過度な効果 を期待せず、徐々にパフォーマンスを上げていく一つの方法として取り組んでいきたいと思っています。

 

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